山形県臨床細胞学会

代表挨拶
Greeting

代表挨拶

 阿部裕也先生の後を受けまして、令和4年度から代表を務めてさせていただくことになりました。理事を含め本学会の体制にも変更がありましたが、細胞診断を取り巻く環境も大きく変わろうとしています。2024年2月にHPV単独検診のアルゴリズムが公表され、検診マニュアルも合わせて厚生労働省から発表されました。子宮頸がん検診の検体数が細胞診断のなかで最も多いため、HPV単独検診への移行は本学会員にとっても影響が多いものとなります。HPV単独検診は、年月を決めて一斉に開始するものではなく、体制の整った自治体から手上げ方式で行っていきます。そのため、一定期間、あるいはかなり長い期間にわたり、細胞診単独検診とHPV単独検診が同じ県内で並行して行われることになります。検診実施側としては、自治体ごとに採取後の処理方法をかえなければならないことになりますし、検診の精度管理指標も異なってきます。考え出すと様々な課題があり、簡単に運用を開始できるものではありませんが、今後の流れとしてはHPV単独検診に切り替わっていくと思われます。しかし、子宮頸がん検診においてHPV単独検診が主流になったとしても、細胞診の重要性が変わるわけではありません。液状化検体を用いた遺伝子診断との併用など、細胞診断が基盤となる新規診断法などへの展開も期待されます。今回の変更を「ピンチ」ととらえずに、新たな可能性を考えていく「チャンス」ととらえる考え方が大切だと思います。
 本学会のホームページには「山形から“新たな臨床細胞学の展望”」を掲げていますが、今まさに新たな臨床細胞学を生み出す好機だと感じます。山形県臨床細胞学会ではこの目標に向け前進していきたいと思っております。

山形県臨床細胞学会
代表 永瀬智